泥沼記

仮面ライダーBLACK RX

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仮面ライダーBLACKの続編。昭和最後の仮面ライダー。放送中に昭和天皇崩御されたので平成最初のライダーとも言えるが『平成ライダーシリーズ』には含まれない。

前作から様々な変化が見られ、中でもライダーのフォルムはかなりの変貌ぶり。首元がガッチリしてマッシブになったRXは全体的に地味な色合いと相まってもっさりして見える。しかし、不思議なものでここに動きが加わると実に渋かっこよく見えてくるし、ライダーキックに代わる新たなフィニッシャー「リボルケイン」の派手さがうまくマッチしている。決めポーズも映えまくりでカッコいい。

 

前作で孤独なエンディングを迎えた光太郎だったが、今作では叔父の佐原一家のもとに身を寄せ玲子ちゃんというガールフレンドまでこしらえて暮らしている。この佐原一家たちのお陰でレギュラーキャラが増えているのは本作の魅力。彼らを守り、時には助けられる光太郎の姿は孤独に戦い続けていた前作とは対比的だった。中盤からはサイドキックとして今や声優でお馴染みの小山力也が活躍するのも見どころ。

 

悪役の魅力もパワーアップしていて、出世を狙い反目し合う部下たちを飴と鞭で飼い慣らすジャーク将軍の大物っぷりが良い。

 

以下に印象的な回をピックアップしていく。ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

14話〜17話

序盤なのに4話に渡って話が続く豪華ゾーン。今や声優ですっかりお馴染みの小山力也が『霞のジョー』として登場。サイドキックとしてレギュラー陣に仲間入りするので、ここからは若々しい小山ボイスと可愛い(?)顔を存分に楽しめる。

更に、RXはロボライダーバイオライダーというフォルムチェンジを会得する。特にバイオライダー変身時の気合のこもった掛け声『ヴァイオ、ルァイダー!』は最高。

 

20話「バナナを食う鬼」

今作の持ち味である、不気味さと笑いの入り混じった胡散臭いユーモアが発揮されている回。今回の怪人、怪魔妖族ビャッ鬼が金庫破りから武器にまで幅広く活用するのは、凍ったバナナ

そんなお笑い怪人ビャッ鬼が人間に化けた姿「白老」は凄く不気味で胡散臭い雰囲気が出ていて良かった。目玉を外すシーンなんてトラウマものだろうし、子供目線だと中々怖いキャラクターなんじゃないだろうか。

 

22話「シャドームーン!」

なんとあのシャドームーンが復活する回。前作ではスーツの仕様もあってかあまり激しいアクションができなかったようだが、今回はアクション用の衣装で生き生きとはしゃぐシャドームーン様を楽しめる。

 

23話「ブタになったRX!」

みんな大好き千葉繁が登場。飛び抜けて声が聞き取りやすいしブタになるシーンの演技も面白い、さすが千葉さん。ジョーが叱られた腹いせに光太郎をブタに変えたかのように見える展開も面白かった。

 

24話「パパはドラキュラ」

ドラキュラ回、と思いきやゾンビ回。しかもストーリーがしっかりしていて、ラストシーンも感動的。倉田てつをが自ら歌う挿入歌にも大注目だ。(前作OPは味があったけどこの歌は…)

 

26話「ボスガンの逆襲」

光太郎の周りの人々を付け狙うボスガン。子供達を守るために佐原ママは光太郎を突き放してしまうのだが、茂とひとみは光太郎を追いかけ、目をやられて敗走した光太郎を介抱する。

前作から子供のために孤独に戦い続けていた彼の想いに子供達が応えているようで、ベタなのに凄くグッとくる展開だった。ボスガンに斬られたジョーを目の当たりにして、怒りに目を血走らせる光太郎の演技も凄く良い。神回だった。

 

 

47話「輝ける明日!」

一気に飛んで最終回。ダスマダーとの対決は見応え抜群のチャンバラで大満足。怪魔界の正体はなんと地球と双子の星であり怪魔界が荒廃していた原因は地球の環境破壊にあったとダスマダーは語る。こうなると帝国の侵略が必ずしも悪だとは思えなくなってくるのだが、帝国が自国の民を奴隷のように扱っていたことや、地球侵略後に自然を顧みなさそうな破茶滅茶な都市開発を計画していたことを振り返ると、やっぱり悪なのだろう。そもそもダスマダーの話は嘘かもしれないし。

ともあれRXはクライシス皇帝を倒すことになるのだが、皇帝の死の直後になんと怪魔界は大爆発。50億の民は宇宙の塵となってしまった…。当時からファンの間でもかなり物議を醸しているエンディングだそうで…。

個人的には「クライシス皇帝の罠」説が一番しっくりくるかなぁ。罪悪感で光太郎の心を壊して道連れにする作戦だったんじゃないだろうか。Zガンダムシロッコみたいに。

余りにも鬱エンドなのでストップがかかってしまったとか、ありえそうじゃないですか。明るい作風ではあったけど、佐原パパ・ママは死んじゃってるし、当初は容赦無く鬱展開にするつもりだったのかも。

 

 

しっくりこないエンディングを抜きにしても後半は前作ほどグッとくる回が少なく、個人的には26話がピークだったなぁという感想。アクションには常に捻りが効いていたし各話のクオリティも悪くはなかったんだけどね…。