泥沼記

パプリカ(2006)

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高校生の頃見たけど全く分かってなかった作品。面白かったと思い込んでいたが、心の底ではなんだよその終わり方と思っていたはず。胡散臭さマックスなのは大好きだったし、平沢進の音楽はその後しばらく聴いていたけど。

 

今見ると深く突き刺さるし、メッセージ性にも大きく共感できる。豪華絢爛で胡散臭い雰囲気や現実社会の風刺が入るという点では「千と千尋の神隠し」を煮詰めて濃厚にしたような印象を受ける。

 

※以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライマックスのパレードでは現代社会への風刺がてんこ盛り。次々と自殺するサラリーマン。携帯中毒の女子高生がスカートをめくれば、ホイホイ釣られていく男達。「花もなければ実もならぬ」といじけ、「どうせないなら何もせぬ」と引き籠る者。世の不安を票に変えた後は、醜く足を引っ張り合うだけの政治家達。

 

今尚こびり付く現代の闇。そんな暗い世の中を変えるのは「男と女」、そして「子ども」だという力強いメッセージで物語は締め括られている。我々は大人・老人のどす黒いエゴを綺麗さっぱり払い除ける子ども達の純真さに最後の期待をかけるしかない。

ただ、現実はこの理想から益々離れて、子ども達に背負わせるものがどんどん膨れ上がっているように思えるのが悲しいところ…。