泥沼記

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

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原題はLocke

ほぼ全編に渡って車の中でトム・ハーディが電話する姿が映され続ける実験的作品

それを見続けるのは予想外に面白かったです。イメージは邦題通りで、夜の高速道路の車内にいる雰囲気を感じられるこれまでに無い作品

ただ、これで終わり?という終わり方で凄く不完全燃焼でした。そこだけが惜しい

物語としてはまとまっているのですが、やはり結末から得られるカタルシスは車内だけではどうにもならないのでしょうか

 

ちなみに、まさかのトム・ホランドも出演しています(もちろん電話での声だけ)

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車内で話すトムを見続ける映画ということで、トム・ハーディ以外に全く期待していませんでしたが、話も普通に面白かったです

 

15年間の結婚生活で一度だけ犯した過ちと向き合うために、仕事と家庭さえも失う男

逃げることもできたのでしょうが、彼はロクデナシの自分の父親とは違うことを、何より自分自身に証明するために浮気相手の出産する病院に車を走らせます

 

おそらく彼は生まれた子を愛しても、浮気相手を愛することはないでしょうから、再婚して新たな家庭をもつことはないはずですし、失った家庭を取り戻すこともできないのでしょう。どう転んでもバッドエンドです

自分の信念を曲げない生き方の困難さを描いた作品でした。とはいえ、一度持ってしまった信念を曲げたとしても後悔に苛まれてしまいます

 

この作品はロクデナシを父親に持つことの悲劇でもあるのでしょうね

愛する子供や妻を不幸にするくらいなら、何の愛情もない浮気相手の、しかも予定より大幅に早まった出産への立ち会いなど絶対に無視するべきです(出産の日に立ち会えなくとも、後で会うこともできますし)。これを無視できない信念はある意味ロクデナシの父親の呪縛なのでしょう

まあこの日に立ち会えなかったら、気分的にもう向き合えなくなるかもしれませんが…

 

あと舞台設定なので仕方ないですけど、浮気した時点で彼の持つ信念に逆らってしまっているし、ここまでムキになって信念に拘り直すのは過ちを塗り重ねているようにも思えます

 

 

物語はアイヴァンの人生崩壊直後に、電話から新たな人生の産声が上がって幕を閉じます。アイヴァンの人生はもはや幸せなものになるかが怪しいですし、彼の元々の2人の子も以前より幸せではなくなるでしょう

しかし今夜生まれた子は、Lockeの姓でもロクデナシの父親の呪縛から逃れて、幸せな人生を歩むことができるかもしれません

 

 

そういえばトム・ホランドは最後の留守電メッセージのエディ役だったようですね

エンドロールでびっくりしました

でもホランドとホランダーのどっちがどっちかすぐ忘れちゃうので、初めはおっさんのどれかだったのかと思ってしまっていたり…