泥沼記

生きてこそ(1993年)

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ウルグアイ空軍機571便遭難事故を題材にした作品。

実話を基にしているからこその説得力。丁寧な作りで良い映画だった。

若かりしイーサン・ホーク(当時22歳くらい)のロン毛姿も楽しめる。

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

極寒のアンデス山脈、4000メートル地点に墜落するという、とんでもなく絶望的な状況から始まるこの映画。

死人の肉を食べるという究極の選択もこの映画の印象的な場面だが、個人的にはやはりクライマックスがこの映画最大の見所だと思う。

 

ナンド、カネッサ、ティンティンの3人は仲間たちに希望を託され、いくつも山を越えていくが、いつまで経っても人里はおろか緑地すら見えない。

険しい道に限界が来たカネッサを少し後に残し、2人は頂上を目指した。先に登りきったナンドは頂上からの光景を見て

カネッサを呼べ!もう心配ない!

とティンティンに告げる。

呼ばれたカネッサが見たのは、遥か遠くに見える雪の無い山と、まだまだ続く険しい雪山。緑は見えない。

もはや絶望的な光景だが、ナンドはカネッサを勇気付ける。

考えてみろ、70日も生き延びたんだぜ。

そして幾つも山を登った。

ーー不可能だ。

不可能をやりとげた。

今日まで生き延びたことを僕は誇りに思う。

(中略)

たとえ死ぬとしても歩きながら死のう。

ここからの道のりは映画では詳しく描かれないが、彼らは生還を果たす。

 

実話だからできる反則技とも言えるこのラスト。もしもフィクションだったら、なんて力業な締め方なんだと思ってしまうだろう。

母と妹を亡くし、絶望的な光景を見せられ続けても、なお挑み続けるナンドの精神力には心打たれる。

 

ナンドを演じるイーサン・ホークは若いのに謎の貫禄があり、ナンドの鋼のメンタルに説得力を持たせていた。グッドキャスティング。