泥沼記

Detroit: Become Human

Quantic Dream作品。アンドロイドの暴走という近未来なテーマにも惹かれてPV発表時から結構期待していた作品。(発売時はBeyondを積んでいたので購入は見送っちゃったけど)

f:id:doronumax:20190612043206j:image

 

Heavy Rain、Beyondはプレイ済み。

Quanticの作品は結局のところQTEゲーではあるけど、ストーリーへの感情移入からかなり熱くなれるのが好き。普段ゲームしない人でも慣れている人でも新鮮に楽しめる珍しいジャンルのゲームだと思う。最近のゲームではムービー中のQTE自体が影を潜めたので、そういう意味でも新鮮。普通のゲームなら無い方が好きだけど。

 

 

Heavy RainとBeyondは好きな作品なんだけど正直クライマックスなどでは大げさすぎてB級感があったが、今作はかなり洗練されていたように思う。今までの選択を後悔してしまうほど感情移入し続けられた。

 

Heavy Rain、Beyondから既に完成されていたともいえるグラフィックは更に磨きがかかっている。表情の動きや肌の質感が素晴らしく、光の当たり方や、雨や涙で濡れている肌は驚くほどリアル。

 

QTEも理不尽なものはなく、突発的な入力シーンではスローになってくれるのがかなり好印象。

選択肢での好感度システムは今までになかった要素で、悩んで選んだ手応えを感じられて良いものだった。

時間制限付きの選択肢も多く実際の会話のような感覚で物語に没入できる。制限時間も時間切れにはならない程度の丁度良さでこの辺りのつくりも丁寧だった。

選択肢で分岐するゲームあるあるだけど、意図のわかりにくい選択肢も少しあって望んだ行動にならないときはあった。とはいえ他の洋ゲーよりは少なかった気がする。

 

選択によって展開が結構変わるエピソードも多く何より理不尽なQTEで疲れることも無いので周回プレイもそこまで苦にならない出来だったのがとても好印象。ただ大きな分岐のあるエピソードが限られていて、何度も同じエピソードをプレイすることになったので会話スキップは欲しかったかなぁ。

 

 

まさにプレイする映画といったゲームでグラフィックの進化により前2作よりも確実に没入感が高まっていた。気になる人は動画ではなく是非自分でプレイしてみてほしい。

 

以下ネタバレあり。未プレイの方は本当に注意。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今作の面白いところは主人公が自我を持ち始めたアンドロイドというところ。バックグラウンドがない分、プレイヤーが感情移入しやすくとても巧い設定だった。

エピソード区切りという仕様上、繋ぎの部分は描かれないので、今までは局所的にプレイヤーが介入するだけという感覚がどうしても付きまとってたが、今作ではその辺も設定のお陰で緩和されていた。

 

今作ではラストエピソードが分岐によって各キャラ2つずつあり、その中でも分岐が用意されていてしっかりとしたマルチエンディングとなっている。プレイヤーの選択の重要さや、周回プレイの楽しさもぐっと増していた。

(その分周回では終盤のエピソードは何度もプレイすることになるため、スキップ機能が欲しかった…)

 

吹替についても文句なし。流石にウィッチャー3のように口の動きまではローカライズされていないが、表情が売りのゲームなので仕方ない。

 

肝心のストーリーは分岐があるので人それぞれだが、個人的にはどの展開でも良いものになるほど完成度は高いと思う。

 

ちなみに自分の初回プレイは、

マーカスの放送とキャピタルパークでのメッセージで選択ミスをしてしまい、平和を求めるのに過激なメッセージを発信し続けるツンデレ指導者となってしまったため世論を味方にできず、ジェリコの襲撃を切っ掛けに悪に落ち、武力による解放を選ぶという実に人間味のある(?)展開に。あんたがビッグボスだ。

 

コナーは偽コナーに撃たれて死んでしまうがアンドロイドの解放には成功した。「君の負けだ、コナー」にはシビれた。QTEを失敗したエンドでも良い演出。

 

そして問題のカーラ。

ジェリコでルーサーを見捨てアリスと逃げきった彼女は、ジェリーって誰?と思いながらも救い出し、盗めたはずのバスのチケットでさえ見ず知らずの人間に返した。(なんでルーサーは見捨てたんだろう…)

アダムとローズに連れられ船に乗るものの、あと一歩のところで警備船の無慈悲な銃弾に撃ち抜かれてしまう…。

 

 

 

アリスが。

なんというバッドエンド。自分の中ではダンサー・イン・ザ・ダークやチェイサーと肩を並べるほど後味の悪いエンディングだった。

ちなみに絶対にハッピーエンドにすると誓った2周目でもせっかくジェリコを生き延びたルーサーと3人仲良く死にました。マーカスの武力闘争エンドでこのゲームを終えることを心に誓った。

 

 

 

そんな感じでバッドエンドとはいえなかなかドラマチックなエンディングを迎えることができるのも今作の魅力。捨てエンドが無い。

 

ちなみにアリスの秘密は2周目に効いてくる良い演出だった。彼女の秘密を知るとどうしても見る目が変わってしまう人も多いのではないだろうか。

 

 

グラフィックだけでなく、エンディング分岐するストーリーや感情移入しやすい設定、プレイヤーに訴えかける演出など様々な進化の見られた本作は僕的には大満足。

Quantic Dreamの次回作に大いに期待している。エピソード区切りの無い、オープンワールド仕立てのミザーナフォールズのようなアドベンチャーゲームを夢見てしまっていたり。