泥沼記

ザ・ボーイズ シーズン1

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一般人vs.悪徳スーパーヒーローという、ありそうで無かったタイプの作品。ネタとしては最高に面白そうなものの、きちんと作らないと出オチになってしまいかねない題材だと思うが、そこそこうまく描かれていた。

 

スーパーパワーを持ちながら性格最悪なヒーローには、ジャスティスリーグで暴走スーパーマンを見たときのようなゾクゾクする恐怖が少し思い出された。

 

R-18の注意書きがあるだけになかなか攻めていて、プリーチャーのようなお下劣さも魅力。

なんとなく大人しい作品が多い印象のプライムオリジナルだったが一皮剥けたように思えた。

 

とはいえ、ストーリーに目立った欠点は無いものの、流れが個人的には好みではなかったかなぁ。もう少し倫理的にぶっ飛んだ内容でもよかったんじゃないだろうか。

戦闘シーンもカット割りが微妙で動きのわかりにくいシーンばかりだったのはマイナスポイント。

 

俳優陣は中々豪華。お馴染みサイモン・ペッグや、ブラピのような雰囲気を醸し出すカール・アーバンもかっこいい。

ある種の危ない雰囲気を醸し出すおじさんと化したハーレイ・ジョエル・オスメントも出てくるし、ブレイキングバッドのガスさんも出演していて驚いた。

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームランダーがただただ魅力的な今作。他のヒーローを威圧するスーパーパワハラは最高だった反面、哀しい怪物ではなくもう少し大物として描いてほしかった気もする。

 

上司に昇給の相談をなかなか持ち出せないような気弱な主人公に降りかかる災難に前半は応援したくなるものの、スターライトとちゃっかりしっぽりしてるところを見せつけられると、仲間を大切にする姿勢や殺された「元カノ」の仇であるAトレインを見殺しにせず助けようとする優しさを見せられても全く魅力を感じない。結局トランスルーセントは殺しちゃったわけだし…。(スターライトに良いところを見せようとしてAトレインを渋々助けていた風だから、シーズン2で化けの皮が剥がれるのかもしれないが…)

過激な作風のわりに主人公が優等生ぶって、うまくいっているのがチグハグな印象。欲望と道徳観の狭間で中途半端に揺らぐのはある意味一般人らしくもあるが、シーズン2では痛い目をみてほしいなぁと考えてしまう。

 

アクションの酷さは先述の通り。ブラックノワール対キミコとかAトレイン対スターライトとか、流石にもうちょっと頑張ってほしい。目からレーザーで容赦なく弾けて千切れる様子や、ハーレイ・ジョエル・オスメントの顔がグチャグチャにされるところをキチンと描いているのは良いと思う。

 

あと社会問題を皮肉るシーンが多かったのは印象的だが、どうせならもっと攻めて色々バカにしまくってほしかった。

 

 

そんな感じで見終わってみると文句の多い作品だったが、見ているときはあまり気にならず、面白い題材の助けもあって何となく先が気になる魅力には溢れていた作品なので、シーズン2ではもっと頑張ってほしいなぁ。

ブレイキングバッドのガスさんには悪役っぷりを存分に発揮してほしいし、個人的には某ヒーロー映画のポリコレ配慮を大いにバカにするくらいの心意気でシニカルな作風を全開にしてほしい。

ディープのダメダメな感じは好きなのでシーズン2での活躍(?)に期待。